住宅供給や消費の現象を取り巻く

このような状況において,高野(1994,1995)は都市内の地域構造がどのようなメカニズムの
なかで変容したのかを明らかにしようと試みた。また社会学や建築学などの隣
接分野に比べても,地理学がハウジングに対するアプローチに積極的であった
とはいえず,わずかにあるハウジングに関する都市地理学的研究においても引
用・参考文献には,都市計画学や建築学などの隣接分野のものが多い。

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サブマーケットごとに研究事例をみると,中心都市でのジェントリフィケー
ション研究には,都市内での産業構造の転換や住宅市場にかかわる制度に潜む
問題性を指摘することにより,イデオロギー的な背景が強く出ているが,開発
プロセスや販売・消費行動に都市政治が極めて強く反映されているはずの
ニュータウン研究には,まだそのような傾向が弱い。郊外化と性別分業化との
関連などについて,わが国の地理学ではフェミニズム地理学からのアプローチ
はまだみられず,時間地理学の分野で触れられる程度である。住宅開発地の立
地位置の選択や多種類の住宅を混在させるか否かなどの開発方式,供給価格に
よる入居者の選別,ひいては都市の交通システムと連動させた大規模な都市再
構造化に,いかに住宅供給を関連させて都市経営が行われているのかなど,都
市政治との関連からアプローチする試みは十分研究余地が残されている。
また,住宅供給や消費の現象を取り巻く制度的・経済的諸要因についての考
察も十分とはいえない。例えば,公営住宅研究においては福祉にかかわる都市
行政がもたらせた政策による弊害に触れなければ,高齢者世帯や母子世帯など
の滞留化を説明することができない。とくに,社会学の分野では渋谷
(1986,1996)が産業構造や都市構造などのさまざまなレベルにおけるリストラクチャ
リングとジェンダーとの関連について触れ,都市空間における「女性の貧困
化」をジェンダーの切り口から取り組んでいる。

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