地域類型を世代間の比較などにより検討

田中(1994)はパネル・データを作成して移動経歴のグラフを分析し,移動
前後の地域類型を世代間の比較などにより検討しているが,残念ながらピック
ルス・デーヴィー(PicklesandDavies;1985)の分析したような住宅経歴
(housingcareers)については,深く議論されておらず,ハウジングとの関
連ではアプローチされていない。また,片瀬ほか(1984)は企業の住宅政策と
工業従事者の居住地移動を関連させて検討することを試みたが,この観点は
ゲート・キーパーを扱った制度論的枠組みによるアプローチに立つものといえ
る。さらに清水(1994)は外国人就学生という特殊なサンプルの居住地移動を
住宅探索における制約条件とエスニック問題とを関連させて分析した。

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このように都市内の居住地移動をハウジングと関連させて捉えようとする試
みは,居住地移動に対して強く影響を与える住宅市場を捉える必要性を主張す
るものであり,また誘因となる家族のライフステージの変化やそれに対応した
世帯の居住地選好の変化など,都市内部における諸要素の連関システムから捉
えた幅広い観点からのアプローチが要求される。

地理学におけるハウジング研究の課題

これまでみてきたように,都市地理学におけるハウジング研究は商業などの
他の機能の研究に比べて決して研究の蓄積が多いとはいえない。とくにわが国
の都市地理学では居住地域に関する研究は,都市の内部構造研究の一部として
みられる傾向にあり,その居住地域の形成や変容に関する要因やメカニズムに
ついて検討することはほとんど行われてこなかったといえる。

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