都市内居住地移動研究

空き家連鎖(vacancychain)についての検証は,ミラー・ロムサ
(MillerandRomsa;1981)などによっても試みられた。また,フォード・ス
ミス(FordandSmith;1981),スミス・フォード(SmithandFord;
1985)は公営住宅市場内における都市内住居移動が空き家連鎖の中で行われる
が,それらの移動が制度的制約のなかで限定的に行われていることを明らかに
した。

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前述のジェントリフィケーションにおいて,都市内居住の再評価が原因とし
てあげられていたこととも関係するが,居住地選好においてハウジングに対す
る文化的差異が反映する。例えば森川(1988)は,「フランスや南ヨーロッパ
では今日でもインナーシティのアパート居住が好まれる」(p.694)とし,近
年のアメリカ合衆国での反都市化との関連で居住面の生活様式の違いを指摘し
ている。

わが国では,住宅供給の地域的状況と都市内居住地移動との関連から捉えよ
うとした地理学的研究の事例はみられないが,居住者特性からみた地域構造と
都市内居住地移動との関連から分析した事例として斎藤(1977,1979),加藤
(1980),森(1980),村山(1985),由井(1987,1989)などがあげられる。こ
れらの研究では住居や地域住民の属性などに着目し,集計レベルで人口移動パ
ターンと都市構造との関係の解明を試みたものである。

ハウジングとの関連からみた居住地移動研究では,斎藤(1982)が住居の種
類別にみた住宅市場により居住地移動が異なるパターンを示すことを明らかに
したが,そこでは住宅の需給に対する視点が欠けている。このように,わが国
においてハウジング研究と都市内居住地移動研究との関連から分析を試みた地
理学的研究が少ないのは,行政側の作成した資料が住宅供給と都市内居住地移
動のいずれに関するものもほとんど無いためであるという,資料的制約による
ところが大きい。

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